2023年1月に買った小型ポータブル電源「HAANEW HN400W」。3年半たった今も、キャンプと、たまに仕事の現場で使っています。買った直後に書いたスペック中心の記事に、3年半使った追記と、正直な弱点を足しました。
小型ポータブル電源とは
本体に内蔵されているバッテリーに電気を蓄えて、コンセントがない場所で家電製品などに電気を供給するための、持ち運べる蓄電池です。
身近なところではモバイルバッテリーの大容量版がポータブル電源で、その上にあるのがガソリンの発電機、と自分の中では認識しています。スマホを何回か充電するだけならモバイルバッテリーで足りますが、コンセント(AC100V)が要る道具を動かしたいなら、ポータブル電源の出番です。
スペック
取扱説明書の「製品仕様」から書き写しました。
- 品番:HN400W
- 容量:72,000mAh/リン酸鉄リチウム電池 3.2V(230Wh)
- AC出力×1:定格400W・100V・60Hz固定(正弦波)
- DC出力×2:12V 6A
- USB-A出力×2:5V 3A/9V 2A/12V 1.5A(QC 18W)
- USB-C入出力×1:最大PD 65W(充電にも給電にも使える)
- DC入力×1:12〜24V 1〜5A(最大60W)
- ライト:3W
- サイズ&重量:268×110×185mm、約3,330g
- 認証:PSE、UL、CE、FCC
- 付属品:ACアダプター、日本語取扱説明書
※前の記事で重量を「約330g」と書いていましたが、取説を見直したら3,330gでした。桁を落としていました。訂正します。
使用可能時間の目安
ポータブル電源は、蓄えた電気を100%そのまま使えるわけではありません。変換のときに15%ほどロスが出るので、計算はこうなります。
- 本機の容量(230Wh)× 変換効率(0.85)÷ 機器の消費電力(W)= 使用可能時間
- 本機の容量(230Wh)× 変換効率(0.85)÷ 機器の電池容量(Wh)= 充電可能回数
メーカーの目安はこうです(気温や使い方で変わります)。
- スマートフォン(11.1Wh):約17回
- タブレット(74Wh):約2.6回
- ノートパソコン(111Wh):約1.7回
- 電気毛布(50W):約3.9時間
- 車載冷蔵庫(60W):約3.2時間
- 扇風機(30W):約6.5時間
使いたい機器の消費電力(本体のシールに「○○W」と書いてあります)を上の式に入れれば、だいたいの持ち時間が分かります。
本体の充電
- コンセント(付属ACアダプター):約5.3時間
- シガーソケット:約5.3時間
- 100Wのソーラーパネル:約5時間(晴天時)
- USB-C PD65W:約5時間
残念ポイント
付属のACアダプターがデカいのがマイナスです。

ですが安心してください。この問題はUSB-C PD65W入出力ポートがあるので、PD65Wポートを使って本体に充電することができます。別途65W出力できる充電器とケーブルを買えば解決します。
PD65Wで充電した方が時間は30分早く済むしケーブル類もミニマムにできるので、付属のACアダプターは封印してこれにしました。
【3年半使った追記】キャンプと、たまに現場で(2026年9月)
買ってから3年半。使い方はこの2つに落ち着きました。
- キャンプ:スマホの充電、ライト、電気毛布など。230Whあれば一泊は余裕です
- 仕事の現場:私はクロス(壁紙)職人で、電気が来ていない現場でこれを使います(詳しくは次の章)
3年半使って、減りが早くなった感じは特にありません。満充電からの持ちも、体感では買ったころと変わっていません。これはリン酸鉄リチウムの「充放電3,000回」というサイクル寿命が効いているのだと思います。週1回使ったとしても3,000回は60年ぶんなので、家庭用途で使い切ることはまずないでしょう。
【職人の視点】現場で「電気が無い」は、わりと普通にある
クロスの張り替えで入る現場は、新築の引き渡し前や、退去後の空き家、リフォーム中の家など、電気がまだ通っていない、あるいは止まっていることが珍しくありません。
そういう現場で困るのが、自動糊付機(壁紙に糊を塗る機械)です。手で糊を塗ることもできますが、時間がまるで違います。このポータブル電源で糊付機を回すと、30分くらいは動かせます。一部屋ぶんの糊付けを済ませるには十分な時間です。
「電気が来ていないから今日は糊付けできない」が「これで回せる」に変わるのは、仕事としては大きいです。発電機のようにガソリンも音も要らないので、住宅街の現場でも気兼ねなく使えます。
注意点として、AC出力は定格400Wです。消費電力がこれを上回る機器をつなぐと、自動的に給電が止まります(取説に明記されています)。糊付機は問題なく動きますが、電動工具でも大きいものは400Wを超えるので、シールの消費電力を先に確認してください。
リン酸鉄リチウム電池について
この製品の電池は「リン酸鉄リチウム(LiFePO4)」です。スマホやノートパソコンに入っている一般的なリチウムイオン電池(三元系)と何が違うのか。
- 安全性が高い:過充電や短絡が起きても発火・爆発しにくい電池です。私がこの製品を選んだ一番の理由もここで、車の中やテントの中に置くものなので、安心感が違います
- 長寿命:サイクル充電回数3,000回。一般的なポータブル電源の約6倍とされています
- デメリット=重くて、容量あたりの価格が高い:同じ容量なら三元系より重くなります。本機が230Whで3.3kgあるのはこのためです
「軽さ」を取るか「安全と寿命」を取るか。私は後者を取りました。3年半たって劣化を感じていない今、この選択は正しかったと思っています。
【正直に】3年半で分かった弱点
- 3.3kgは、片手で気軽に持ち歩ける重さではない。キャンプ道具として車に積むぶんには問題ありませんが、リュックに入れて歩く用途ではありません
- AC出力は60Hz固定。取説には「50Hz単独表示の機器は動作しません。50/60Hz両対応の表示があるものを使ってください」とあります。最近の家電はほとんど両対応ですが、東日本(50Hz地域)の方は、古い家電や一部のモーター機器を使う前に表示を確認してください
- ACコンセントは1口だけ。2つ同時に使いたいときは電源タップが要ります
- 何もつながなくても少しずつ減る(取説にも「接続していなくても電力を消耗し続けます」とあります)。保管中も3か月に1回くらいは充電しておくのが無難です
- 付属ACアダプターが大きい(前述。PD65W充電器で解決しました)
よくある質問
Q. 何が動かせる?
消費電力400W以内の機器です。スマホ・ノートPC・電気毛布・扇風機・LEDライト・小型の車載冷蔵庫あたりは問題ありません。ドライヤー、電子レンジ、電気ケトル、ホットプレートは400Wを大きく超えるので動きません。
Q. 飛行機に持ち込める?
持ち込めません。リチウム電池の機内持ち込みは160Whまでが上限で、本機は230Whです。預け入れもできません。車か宅配で運んでください。
Q. 停電の備えになる?
スマホの充電とLEDライトなら数日分になります。ただし冷蔵庫や暖房を動かす容量はありません。「連絡手段と明かりを確保する」ための備えと考えてください。
Q. どのくらいの頻度で充電すればいい?
使ったら満充電にして保管し、使わなくても3か月に1回は充電しています。何もつながなくても少しずつ減るためです。
最後に
このサイズでこれだけ仕事をしてくれるのなら、買いだと思います。3年半使って劣化を感じず、キャンプでも現場でも「電気がない」を解決してくれました。
上の計算式で、使いたい電化製品を調べてみてください。400W以内なら、結構使えますよ。キャンプや災害用に備えておくのもいいと思います。